雨あがる [映画関連]
2000年 小泉堯史監督
雨で川を渡れず安宿で足止めを食う武士夫婦。宿泊している貧しい農民やヨタカとの交流がまず描かれる。武士は見た目と違い非常に剣術にすぐれており、ある日それが殿様の目にとまって大出世の話が舞い込む。しかしこの武士、今まで強すぎる剣の腕と優しすぎる性格が災いしてろくな仕事につけなかった経歴の持ち主。今度の殿様はもののわかる人物のようだが、さて今回はうまくいくのだろうか?
と、いう話。黒澤明の遺稿らしく、なんとも黒澤っぽいストーリィだ。監督の小泉堯史は黒澤の助監督をしていた人物であるし、黒澤映画の小粒なものが出てくるのかなと思っていた。しかもこの武士が寺尾聰というのはあざとすぎるキャスティング。"不器用な武士"というのも最近の時代劇映画ではよくあるし、なんだかなぁ、と思っていたのだ。
しかし観てみたら予想以上に丁寧な作りで、決して安直な作品ではなかった。
人物設定などあまりにステロタイプではあるものの、役者が生き生きと演じているために嘘臭くない。あざとい寺尾聰も、なんだかんだ言ってすごくいい。早朝に一人剣の稽古をするシーンで、ものすごく強そうなのが伝わってきてしまうのだ。このシーン、雨にぬれた葉がみずみずしく、とても美しいシーンだ。
黒澤明はスペクタクルと絵画的な映像美が特色の監督だと思っているのだが、その映像の美しさがきちんと受け継がれているところが偉いと思った。さらに、黒澤の油絵風の映像は私にはややくどく感じることもあるのだが、本作の映像には清々しさがある。
あざといストーリィなんだけれども結局素直に見られてしまう。出番が少ないのに、ありがちな決め台詞をこれまた嘘臭くなく決めた宮崎美子もすごい。
殿様役の三船史郎は三船敏郎のご子息だそうで。ものすごい棒読みだが、殿様らしいスケールの大きさは十分。こういう人をさらりとキャスティングしているのも偉いなぁ。
見た後の後味がすこぶるいいところに、雨あがる、という小気味いい題名がぴったりマッチ。
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「雨あがる」(1999年・日本) 監督:小泉堯史 脚本:黒澤明 主演:寺尾聰、宮崎美子 実に素朴な映画です。 「退屈でおもしろくない」という人もいるかも知れませんが僕はとてもいい映画だったと思います。 なにより「誰も知らない」のときに強く思った「人が生きていく上で本当に必要なものは何か?…[続く]








「男の描く夫婦像は男の理想が現れている」
とは僕の理論ですが、そう思いつつもここに出てくる夫婦には憧れました。
黒澤監督が撮ったらこうはならなかっただろうな、と思わせる小泉監督の
手腕に感激した記憶があります。
by ken (2006-04-10 18:17)
kenさんありがとうございます。
女の私から見てもこの夫婦憧れます。決して余裕があるわけでもない旅の身でも夫の一張羅をしっかり用意しておいたり、最後にお侍に向かってビシッと言い放つ宮崎美子格好よかったです。いい夫婦ですよね。ほんと。
by satoco (2006-04-10 19:03)